愛おしきもの  〜ちいさなスピネルのネックレス制作記〜

以前のブログ記事に書いた『旅』の終盤の時期に生まれたスピネルのネックレス。

天然石をたっぷり味わうのが好きなためか、

いつもだいたい中〜大きめの石を使うことがおおく、

 

こういうちいさなビーズをメインとした作品はあまりつくってきませんでした。

今年のはじめあたりだったか、手元にある石を整理していたときに

ちいさなビーズがけっこうあることに気づいて

ふと、これでなにかできないかなと…。

いつもはメインとなる石を決めてから創り始めますが、

今回は全体のイメージもなく、とりあえず3×5mmほどのスピネルのビースから手を付けはじめました。

ちいさなビーズも数がまとまってくると、コールドバレエのように群舞ならでは!というような表情が生まれてきます。

(と、さらりと書いてますが、一番時間がかかったのはこの部分です)

 

 

なんとなくペンダントトップをつくれそうな雰囲気になってきましたが、

スピネルのちいさなビーズの数はこれでおしまい。

 

1つのパーツとしてなら、これだけでもOKですが、

ペンダントトップとなると、やはりもう少し存在感とボリューム感が欲しい…。

 

例えるなら、コールドバレエだけでなく、ソリストも登場している舞台にするという感じで、

ソリストにあたる石に登場いただくことにしました。

 

こちら↓

淡いラベンダーピンク色をしたスピネルです。

控えめながらもどこか惹きつけられる、ちょっと不思議ちゃん系という感じもしますが、

 

先ほどのコールドバレエの部分の、ある種の儚さ、中性的な波動&クリアさをできるだけ保ちたかったので、

同種のエネルギーの石でまとめることにしました。

 

クラック(ひび)も多く、インクルージョンも目立つので作品用からは最初に除いた石ですが

活躍の場がやってきましたね。

ペンダントトップのパートとしては、これで完了近し。

あとは全体のバランスをみながら、アクセントに金属のビーズを添えていきます。

このパーツでおおよそ5㎝強のサイズ感。

そして、問題はネック部のチェーン。

 

チェーンって、たかがチェーン、されどチェーンでして

これがけっこう難しい…。

 

話がやや脱線しますが、

チェーンって、顔の印象に例えるなら

「眉」に相当する部分だなと思います。

 

人の印象を決めるのは、髪型7割、顔3割。

そして、その3割の顔全体のうちの、さらに7割が眉の印象だと言われています。

 

つまり、眉はそれだけ重要なパーツだということ。

 

 

チェーンもこれと同じで、チェーン次第でペンダントの印象ががらりと変わります。

 

スピネルの繊細さを損ねず、でもシンプルすぎず、適度な装飾性と存在感は欲しい…などなど

いいだしたら止まらない…

 

でもこの時は、手元にあるものでつくる、ことを条件にしていたので、

今もっているチェーンをなんどもなんどもひっくり返し、

そして結局、小粒の淡水パールに行き着きました。

上の写真でみると、首まわりの淡水パールの存在が強いかなと感じられますが、

実際に身に付けてみると、けっこういいバランスです。まぁ、私がつけた場合ですが(笑)

 

じつのところ、

淡水パールをチョイスした時点で

こういうパールがいい(あわせたい!)というイメージ自体はもうハッキリきていましたが

(それは、もうちょっと細くて上品なシルバー色のアコヤのケシパール)

ただなかなかレアですし、色も大きさもイメージにあうものとなると探してもすぐにはちょっと…。

 

 

「今あるものでつくる」という裏テーマもありましたし、

今回は、ちょっと個性的なこの淡水パールを組み合わせて、

 

どことなくエキゾティックな香りを含んだような、

スピネルのリトルネックレスのできあがりです。

小ぶりなネックレスはこれまでも作ってはいましたが、

こういうふうに可愛らしい感じのものは、ほぼなかったので、

 

 自分でも「あらっ…!」と。

正直、ちょっとびっくり。

 

 

 

数はそれほど多くはありませんが、

アクセサリー・ジュエリーをつくりはじめて10年以上たちます。

 

変遷と言うほどではないにしろ

振り返ってみると、その時々の自分が映し出されているのがわかります。

 

わたし自身、自分に正直に生きるというのはなかなか難しいことでしたが、

でもこのアクセサリー、ジュエリー制作だけは、

どんな時でも自分に正直につくってきました。

 

だから、うまれてきたこのネックレスをみて感じるのです。

「ああ、”こういう感じ” を表現できるようになったんだなぁ〜」と。

 

どの作品にも想いがあり、愛着もありますが、

何も意図せず、ふとつくりだした作品に、

それまで表れてこなかった自分の一面をみいだすことがあるように感じます。

 

 

ただ愛おしい、そんな気持ちがカタチになってくれたかな…と。

ちいさなスピネルのネックレスです。

 

 

 

最後までおよみいただき、ありがとうございました。